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バングラデシュの原子力発電

現在、パブナ県ルプールという場所に、バングラデシュ初の原子力発電所が建設中です。

これまで、バングラデシュにはダッカ原子力センターに Triga Mark II という研究炉がありましたが、発電炉はルプール原子力発電所が初めてです。

また、国内南部に2つ目の原子力発電所建設が計画中です。

以下は、次の記事の日本語訳です。

記事の日本語訳

バングラデシュの原子力発電

2015年5月更新

  • バングラデシュはロシア製原子力プラント2機の稼働を計画中。1機目は2021年の予定。
  • 急速に増加する需要を満たし、天然ガスへの依存を減らす見込み。

バングラデシュは2012年に、一人当たり320kWh/年に相当する、総発電量490億kWh(49TWh)を生産した。 2012年の約42TWhは天然ガス、6TWhは石油(IEAのデータ)である。 政府の統計によると、2013-2014年の総生産は42GWeである。 電力需要は急速に増加し(2013年度で9%)、能力は2014年1月で11.3GWeに加えて、 電力の5%を供給するインドの西ベンガルからの輸入約500MWeであった。 国民の30%以上が電気無しで生活しており、その他3分の2は頻繁な停電を経験している。 政府の支出の約5.0%は "電力とエネルギー" にあてられている。

2010年電力システム総合計画は、需要は2021年に19,000MWe、2030年に34,000MWeとなり、 よって2030年に発電能力は39,000MWe必要となると予測している。 政府は、初めての原子力発電を含め、2021年に新たに24GWeの発電能力を目標としている。 計画は、国内の石炭30%、輸入石炭20%、天然ガス(液化天然ガスを含む)25%、液体燃料5%、 原子力再生可能エネルギーおよび電力輸入が20%である。

原子力発電計画

1961年に、国内の西部に原子力発電所を建設することが提案された。 それ以降、原子力発電が技術的および経済的に可能であることを述べる多くの報告がなされた。 1963年にダッカの北200km、パブナ県ルプール(Rooppur)が選ばれ、土地が取得された 政府は発電所案の正式な引き継ぎを正式に承認し、独立後の1980年には、125MWeの原子力発電所案が承認されたが、 建設には至らなかった。

その時以降の需要の増加と設備容量に伴い、より大きな発電所が可能と見込まれ、 政府は1999年にルプール発電所の建設の固い決意を表明した。 2001年には2015年の原子力発電実行計画が採択され、中国との原子力協力協定がなされた。

2007年に、バングラデシュ原子力委員会(BAEC)は、2015年までにルプールに2つの500MWe原子炉を建設することを提案した。 その案は、600MWeの設備の予想コストは9億から12億USD、1000MWeの設備の予想コストは15億から20億USDとした。 2008年4月、政府は中国とのルプール発電所建設の集中的作業について再び述べ、中国はプロジェクトの資金を申し出た。 国際原子力委員会(IAEA)は、ルプール原子力発電所の技術援助プロジェクトを2009年から2011年に開始することを承認し、 1100MWeの発電所が実現すると思われた。

ロシア、中国および韓国は、以前から原子力発電設立の経済的・技術的援助を申し出ており、 2009年3月にロシアは、正式に国内の原子力発電所建設を提案した。 2009年5月、二国間原子力協力協定がロシアと結ばれた。 2009年4月政府は、1000MWeのAES-02原子力発電所を約20億USDでルプールに建設するロシアの提案を承認し、 1年後には、2017年までに同じ原子炉を2機建設する事になった。 原子力エネルギーの予算は、2012年5月に議会に提出され2013年に発効、バングラデシュ原子力規制庁が設立された。 5000MWeの原子力発電が2030年までの実現、およびルプール稼働後、第二プラントが南部に建設される旨、議会は報告を受けた。

2010年5月、ロシアとの政府間協定が結ばれ、発電および研究用原子炉、脱塩プラントおよび粒子加速器の、選定・ 設計・製造・運用に関する原子力協力の法的根拠となった。 されにこれには、燃料の供給及び廃棄も含まれ、燃料廃棄および廃炉に関してはロシアが担当することになった。 バングラデシュ原子力委員会(BAEC)とロスアトムとの協定が2011年2月に結ばれ、 1000MWe級原子炉2機ががルプールに建設されることになった。 さらに2011年11月に、 アトムストロイエクスポルト(2012年半ばにニジニ・ノブゴロド設計研究所, NIAEPと合併)による建設プロジェクトに関する政府間協定が結ばれた。 2014年には、モスクワAEPがV-392M原子炉を含むAES-2006となると発表した。

計画中の原子力発電炉

種別 能力 建設開始 運用
ルプール1 AES-2006/V-392M 1200 MWe 2015 2021
ルプール2 AES-2006/V392M 1200 MWe 2020 2025

用地の技術的調査、プロジェクト開発および人員訓練のための5億USDのロシアの融資に関する政府間協定が、2013年1月に結ばれた。 原子力建設のため、さらに15億USDの融資が見込まれている。 2012年8月、経済的協定の交渉がなされ、設計、文書化、訓練に関する2年間の技術的および経済的共同研究のため、 5億USDの融資を3%に続く4.5%以上の利率で受けることとなった。 その後ロシアは第2の融資として第1ユニット建設の90%に当たる15億USDの融資をする。 協定は2013年1月に締結された。 5億USDの融資は5年の猶予で12年で返済され、最終的な建設費は10年の猶予で28年で返済される。 IAEAは引き続きプロジェクトに緊密に関わる。

2013年6月、NIAEP-アトムストロイエクスポルト(NIAEP-ASE)は発電所の建設と環境評価に関する文書準備、および必要な技術研究の提供に関して BAECとの契約を交わした。 NIAEP-ASEは、この契約が長期的な協力になると述べた。 その後、用地整備と詳細な設計文書化のための10月に26.5億USDの同意(50億USDの貸し付けの2つの部分)がなされる。 用地整備工事の主要な部分のための19億USDの同意が、2014年6月になされ、9月にBAECは、 これを2016年までに完成させることを承認した。 プロジェクト管理会社はJSC NIAEPである。

用地工事は2013年10月に始まり、2015年2月にロシアの会社Orgenergostroyは 発電所の技術調査、環境監視の実施およびプロジェクトの文書化を、1800万USDで落札した。 第一ユニットの建設は2015年に開始され、2020年頃に運用される見込みである。

2014年6月、政府とバングラデシュ原子力委員会(BAEC)は日本原子力研究開発機構(JAEA)を招き、 ふたつ目の2000MWe原子力発電所を国内の南部に建設する可能性を探った。

燃料サイクル

ルプールの燃料はRosatomによって提供され、使用済み燃料は全てロシアに送られて、 こうした国々のためのロシアの方法で処理される予定である。

研究

バングラデシュの開発戦略によれば、バングラデシュは2021年までに中所得国となる見込みであり、 その経済成長においては科学技術セクターが大きな役割を果たす。 科学技術省(MoST)は2014年に、ビジョン2012の達成のためには、次の10年間に62億USDが必要であると試算した。 2010年科学技術法はこれを推進し、ガスの貯蔵がつきつつある中、科学技術省は毎年1.5億USDを原子力技術開発に充てている。

国はTriga 3MW 研究炉を1986年以降運用している。

組織と規制

2015年原子力発電所法は、発電所原子力委員会(BAEC)が保有するものの、バングラデシュ原子力会社が運用することを定めた。

2012年2月に科学技術省は、ロシアの連邦技術監視局と規制と安全「およびバングラデシュ原子力規制委員会への顧問サポート、ライセンスおよび監督業務の提供」に 関して、協定を結んだ。スタッフはロシアで訓練を受ける予定である。

国際的合意と拡散防止

バングラデシュは核不拡散条約(NPT)に加盟しており、1982年のIAEA保障措置協定および2001年のIAEA追加議定書に加入している。